勉強

糖尿病専門医試験(論述)の勉強法の話

こんにちは、Kです。

今年もアレの季節がやってきましたね。

そうです。

日本糖尿病学会糖尿病専門医試験の季節です。

試験内容は論述試験(60分)、マークシートでの選択試験(50分)、口頭諮問(15分程度の面接)から成るのですが、対策として一番頭を悩ませるのは、やはり論述試験なんじゃないかと思います。

糖尿病専門医試験は年度によっては合格率が6~7割程度と、専門医試験の中では割と「落とされる」試験と言われていますが、要因の一つとして論述試験の対策の難しさがあるのではないかと思います。

私も昨年受験し、おかげさまで無事に合格しました。10月末の受験後、結果は12月に届き、その際にどの科目が何点だった、という試験結果もわかるのですが、論述試験がなかなか珍しい点数でした。

むしろ、どこで1点引かれたのかが今となっては大変気になるのですが、おおむね対策がうまくいったことには大変安堵しました(選択と口頭は普通の点数でした)。

2021年度の糖尿病専門医試験まで残すところ1か月(9/23 現在)とのことなので、今年もしくは来年以降に受験される先生に向けて、自分がどんなふうに勉強をしていたかをまとめてみました。

どこかの誰かのお役に少しでも立てれば嬉しいです。

●論述試験の形式に関して

論述試験は例年、大問4つで構成されており、各大問の中に穴埋め問題5問と150~250文字程度の記述問題が出題されます。100点満点で考えると、各大問25点で、穴埋めが1問1点、記述は20点程度と思われます。なので、記述で1問でも全く筆を動かせないテーマが出題されてしまうとそれだけで割とピンチに陥る可能性が高いです。怖いですよね。

なので、勉強としては「いかに出題されうるテーマを網羅できるか」が大事になってきます。

●論述試験対策に役立つ資料とは

公式ページでも言われているように、試験の対策は糖尿病専門医研修ガイドブックが基本となります。ただ、あの鈍器のような書籍の中から、たった4つのテーマを選び出すのは至難の業です。

ただ、幸いなことに、過去問を分析してみると、どうやら下記の資料からの出題が多いことに気づきました。

1)学会誌「糖尿病」の特集、委員会報告など

過去3年間で取り上げられた「特集」「委員会報告」などの内容が出題されます。こちらは主に論述試験の出題テーマとなる場合も多く、注意する必要があります。

また、2020年から「コンセンサスステートメント」という記事も掲載されるようになり、明言はされていませんが、今後の出題テーマに含まれる可能性が高いです。

ちなみに学会に問い合わせたところ、過去3年とは、2020年度に関しては2020・2019・2018・2017年中に掲載された内容を指すとのことでした。

委員会報告に関してはかなり突っ込んだ内容が問われる傾向があるので、文中にでてくる数値などに関してもある程度、暗記しておく必要があります。

特集に関しては3年分となると量がかなり膨大ですが、細かい内容が出題されることは少ない印象を受けました。ただし、特集で扱ったテーマに関連した出題が出題される頻度はかなり高いので(主に前年の特集)、過去3年間で何が特集で扱われたかはしっかり把握しておく必要があります。

「特集」「委員会報告」「コンセンサスステートメント」のいずれも糖尿病学会のHPから過去の号を検索してダウンロードすることができます。

2)糖尿病学会HPの「学会からのお知らせ」で扱われた内容

他学会と合同発表したガイドラインやその改訂、学会の活動内容などに関して掲載されることがあり、しばしば出題テーマとなるため少なくとも試験前1年間のものは確認しておくとよいと思います。例えば2020年でいうと日本糖尿病学会と日本循環器学会の合同で「糖代謝異常者における循環器病の診断・予防・治療に関するコンセンサスステートメント」が刊行されました。昨年度はここからの出題はありませんでしたが、目を通しておくとよいのではないでしょうか。

3)糖尿病治療ガイド

意外ですが、目を通しておくとよいと思います。2020年・2019年はコラムに掲載されている内容が論述のテーマになっていました(スティグマ、サルコペニア)。研修ガイドブックの内容がコンパクトにまとまっていることもあり、重要事項の復習にも有用です。


4)その他

上記以外の書籍に関して補足すると、糖尿病診療ガイドライン2019は専門医ガイドブック・学会誌の特集以上の情報はそれほどありませんので通読は不要と感じました。ただし、新しい版が出版された際は変更点や追加記載された内容が問われる可能性が高いと思います。

また、「糖尿病 NEW専門医を目指すケース・メソッド・アプローチ」という本がありますが、専門医試験の内容には全く即していないので、少なくとも試験勉強には不要です。

●論述試験の勉強法

私が実践していた論述の勉強法は、単純なのですが、特集や委員会報告の内容などから自分で予想問題を考え、作文用紙に150~250字程度でまとめるといったものです。

ある程度知識のインプットが済んだ9月末頃から行っていました。論述の構成などは自分なりの型が必要だと思うで、事前によく練習して身につけておくことをお勧めします。

そもそもわかりやすい文章構成とはどんなものかというのがわからない先生もいると思いますが、私の場合、Amazonで「まんがでわかる 理科系の作文技術」という本を買って読んでみました。サクッと読めますし、文章を書くにあたっての基礎知識がつくので、お勧めです。


やはり実際にペンを取って書く練習は重要です。

やってみると感じるのが、意外と知っている漢字が書けないということ。我々、仕事中はパソコンですし、私生活はスマホでフリック入力なので、いざ漢字を書こうと思うと意外と出てきません。出題テーマに関わる画数が多い漢字は、入念に練習しておくことをおすすめします。

テーマに関しては、先述の資料の中から自分で10個ほどの想定問題を作り、1日1,2題のペースで実際に書いてみる、というのを繰り返していました。2020年度の試験では4問中3問が想定問題に関係したものが出題されたので悪くない的中率だったと思います。

ちなみに持ち物に関して、送られてきた試験案内では筆記用具は「HB以上の濃さの鉛筆」を指定されたため論述の練習も鉛筆で行っていましたが、試験場ではシャープペンシルも使用可のようでした。時計も秒針付きのアナログ時計を持参しましたが、当日は、筆記用具以外はすべてしまうように言われ、時刻も試験場の前に置かれている時計で確認していました。2020年度の話ですので、詳しいところは学会に確認してみてください。

だいぶ長くなってしまいましたが、以上が私が論述試験の対策として行った勉強です。

「こんなの当たり前」といったものも多々あったかもしれませんが、「どんな対策をすればいいか全然わからない!」と頭を抱えている先生にとって、何らかのヒントになればと思います。

試験まであと1か月(9/23 現在)ですが、まだ1か月と考えることもできます。

最後まであきらめずに頑張ってくださいね。

以上、糖尿病専門医試験(論述)の勉強法の話でした。