こんにちは、Kです。
久々の更新となってしまいました、すいません。気を取り直して、これからまたぼちぼち書いていこうと思います。よろしくお願いします。
さて、本日は「初期研修修了後にいきなりフリーランスになるのはアリかナシか」について。
よく議論になる話ですね。
私自身は、初期研修を修了後、フリーランスという働き方があるなどと考えもせずに後期研修に突入し、数年経っていくつかの資格を取得したタイミングでフリーランスとなりました。
ただ、仮に今から初期研修修了時に戻ったとして、いきなりフリーとして働くかと問われると正直、悩ましいところです。
悩ましいところではあるのですが、個人的には「一定の条件を満たせていればアリ」派になるかと思います。
では、何が悩ましいのか。その一定の条件とは何か。
まずは私が感じる3年目即フリーランスに潜む落とし穴について述べ、その後で、その対応策について私の考えを述べさせていただきます。
ちなみにここでのフリーランスは、「医局はもちろん、民間病院の後期研修プログラムなどにも属さず、純粋に医師免許と研修修了登録証だけで戦っていく先生方」とさせていただこうかと思います。
それではいきましょう。
●3年目即フリーランスに潜む落とし穴
これは私以外の多くの先生がおっしゃっているように「医師としてのスキルが身につきづらい」ことが挙げられます。残念ながら事実です。
専門資格のない医師でも任せてもらえる仕事というのは、誤解を恐れずに言うなら、誰にでもできる仕事がほとんどです。他の医師と一線を画すような超絶技量を身につけることは、もちろん絶対に不可能というわけではありませんが、かなり難しいでしょう。それなら、どこかで後期研修した方がはるかに楽です。
さすがにブラックジャックは漫画の中のお話です。
出典:「ブラック・ジャック」手塚治虫 著 より
ただ、3年目即フリーランス志望の先生方は、「ぶっちゃけ医師としてのスキルなんて身に付かなくてもいい」と考えている人が多いかもしれません。
「さっさと1億貯めて4%ルールに則ってFIREするんや」と。つまり人生の早い段階で資産を築いてサッサと引退して逃げ切る戦法です。悪くないと思います。
しかし、人生におけるお金の必要額は変わっていくものです。
養うべき家族が増えて、生活費の増額が必要となったら。
自分や家族が身体を壊して、多額のお金が必要となったら。
もしくは金融市場に大変革が起きて保有している資産が紙屑になったら。
最後のはフリーランス云々に関わらず非常にヤバい状況かと思われますが、何が言いたいかというと、貯蓄=ストックだけに頼った生活には常に不安が付きまとう、ということです。
一方で、稼ぐ力=フローを得る力がある人は、ストック型の人より安楽に構えていることができます。
お金が足りなくなったら、その分を稼げばいいだけだからです。
ここで、普通に考えると、医師としてフローを得る力≒医師としてのスキルが重要となってきます。
ここで、「いや、だから、そんなもんなくても寝当直や健診バイトで必要になった分は稼げるから」というお声が聞こえてきます。
果たして本当にそうでしょうか。
今後、科学技術の進化は医療にも確実に大きな影響を及ぼします。我々の仕事の大部分は将来的にAIが代行してくれる未来がくると思います。
これは少し前のニュースですが、将来的にほとんどの医師の仕事は人工知能に取って代わられるだろうと思ってます。
一握りの優秀な医師が最終決定ラインとして生き残り、AIの提案の可否を判断する未来になるんじゃないかと。
手技系も自動化によって残る術者はごく少数では。https://t.co/uJ5VNcpuA7
— 内科医 K (@naikaiK) April 11, 2022
フリーランスという働き方が徐々に浸透しつつある現状、組織に依存しない生き方を選ぶ医師も今後増えてくることと思います。
しっかりと研修を積んで、超絶技術を備えてフリーランス市場に乗り出す若手の先生も出てくるはずです。
つまり、「誰にでもできる仕事」は機械に代わられてどんどん減っていく一方で、残った仕事を奪い合う相手はどんどん強靭になっていく図式が想定されます。
本当に何のスキルも無しの丸腰で大丈夫でしょうか?
●生き抜くために意識すべき2つのポイント
ここまで3年目即フリーランス…というか全フリーランス医を取り巻く不安について書いてみました。ネガティブなことばかりですいません、何だか自分でもテンションが下がってきました…。
「いやアンタ『一定の条件を満たせていればアリ』って言ったやないか!」
そうでした。そうです。
では、その条件とは何か。
それはこれから述べる2つのポイントをちゃんと意識できているかだと思います。
ポイント その1 適切な金銭感覚を身につけること
これ、大事です。何より大事かもしれません。
医師の場合、フリーランスとして働くと、収入が増える方がほとんどだと思います。
例えば、初期研修を終えてすぐに自由診療系のクリニックに入職した場合など、それまでの3倍、4倍の収入を得られることも珍しくないでしょう。
そのときに「俺って凄いんじゃね?」と勘違いして散財生活を始めないことが重要です。多分、凄くありません。その額は、いわば自分の実力以上のお金なのです。
要は、収入に合わせて生活レベルを上げないこと、これが重要になってきます。
一度生活レベルを上げると、そこから元のレベルに下げるのは至難の業です。
生活レベルが上がれば上がるほど、それを維持するお金の額が増え、お金が貯まらず、数年後に「何もできないけどお金がない一方で金遣いが荒いおじさん or おばさん」が出来上がる可能性が高まります。
身の丈に合った生活をしましょう。
もちろん、確実にフローを得続ける力さえあれば、収入の範囲内で豪遊する生活も可能でしょう。
もしそうでないのなら、自分の身の丈に合った生活を続けて、余ったお金は貯金及びインデックスファンドにぶちこみ続けましょう。
ポイント その2 フローを得る力を身につけること
弱点が稼ぐ力不足なら、稼ぐ力さえあれば解決するだろ、という話ですね。
これは、必ずしも「医師としてのスキルを高めろ」ということではありません(もちろん、高められるに越したことはないです)。
私が感じる、フリーランス医としての最も大きな強みの1つは「自分で自分の時間を管理できること」だと思っています。
自分で管理することで確保できた時間を、フローを得る力の獲得に充てるのはどうでしょうか。
例えば、何かの資格を取得することはどうでしょう。
極端な話、司法試験にでも通れば医師と弁護士のダブルライセンサーとして、日本でも稀有な存在になれます。他にも、医師として働きながら獲得できて資格は民間・国家資格問わず色々あります。
不動産投資を学んでみるのもよいでしょう。医師は融資を受けやすい職業の代表格です。実際に不動産投資で医業収入をはるかに凌ぐフローを得ている先生もたくさんいます。
医者の資産形成、スピードだけなら結局は
「ハイポ病院研修、脱毛クリニック勤務で収入&時間を確保しつつ不動産投資を学び、医師免許証の大量コピーで融資を受けまくって不動産王コース」
というのが、もしかしたら最速…あ、これは全部適当についた嘘なので将来有望な若手の先生は無視して下さい。
— 内科医 K (@naikaiK) May 30, 2022
※ただし、くれぐれも不動産投資はしっかり学んでからにしましょう。勉強不足の医師は業者にとって絶好のカモです。
あるいは、プログラミングを学んで医療者向けのアプリケーションを作ってみては。
小説を書いて、医師小説家としてのデビューを狙うのもいいでしょう。
その他でも、自分のビジネスを立ち上げてみるのもいいと思います。
大丈夫です、時間はあります。
もちろん、せっかくできた時間を自分が好きな楽しいことに使うのも大事です。
ただ、その時間を少しでも自分の稼ぐ力に投資することは、3年目即フリーランス医の先生方にとって重要な生存戦略になると思います。
いかがでしたでしょうか。
3年目に即フリーランス生活に関して、自分なりに思うところを書いてみました。
このことについて考えてみたきっかけは、ちきりんさんの著作「未来の働き方を考えよう 人生は二回、生きられる (文春文庫)」を読んだことでした。
この本の中で、これまで貯めた資金や築いた地位=ストックでなんとか逃げ切ろうとする大企業のベテラン社員と、生活費を自分で稼ぐ力=フローで戦おうとする若い世代の話がありました。
これが医師の世界だと、「早めにストックを作って人生ゲームをアガりたい」と考える若手世代 &「フローを生み出す能力がないと危険だ」と諭すベテラン世代と、年齢層が逆転している様相が興味深いなと感じた次第です。
今回は、「このフローを生み出す能力って、別に本業の医業だけじゃなくてもいいのでは?」とう私なり考えを書いてみました。
もちろん、フリーランス医という働き方は、若手・ベテラン問わず、安定性に欠ける部分があります。その中をどうやって生き抜くかを考えるのが、難しいところでもあり、面白いところでもあります。
「勢いでフリーランスになっちゃったけど、これから大丈夫かな」と感じている方に、何か少しでもお役に立てる考えが提供できたなら幸いです。
それでは今日はこの辺で。
以上、「3年目からフリーランス医、アリかナシか」の話でした。