お金

必要のないものは持つべからず、という話

こんにちは、Kです。

みなさんは更新が必要な資格を持っていますか?

運転免許を持っている方は多いと思いますし、医師なら各学会の専門医資格なんかは定期的に更新が必要なものがほとんどです。

当然、中には、普段あまりお世話にならない資格も出てきます。

ただそんな資格でも、完全に失効してしまうのはなんだかもったいない気がしてしまい、我々はついついお金と手間をかけて更新してしまうんですよね…。

資格は一例ですが、同様に、もう読まないかもしれない本も、着ないかもしれない服も、使わないかもしれない記念のペンも、一度所有したものはなかなか手放せません。

実は我々には、自分が所有しているものに高い価値を感じてしまい、それを手放すことに抵抗感を覚えてしまう傾向があり、これを「保有効果」と言います。

行動経済学者のダニエル・カーネマンが行ったこんな実験があります。

学生を二つのグループに分け、一方のグループにだけマグカップを渡します。

その上で、マグカップを保有したグループには「そのマグカップをいくらの値段なら売るか」を回答させます(売り手グループ)。

もう一方のグループには「いくらの値段ならそのマグカップを買うか」を回答させます(買い手グループ)。

すると、売り手グループがつけた値段の平均は、買い手グループのつけたものの2倍以上になったそうです(7.12$ vs 2.87$)。

別に不要なものでも、所有してしまったが最後、手放すのが惜しくなって、ついつい保持し続けてしまうのです。

この保有効果、市場でも頻繁に活用されていて、有名なものでは「返品保証」ですね。

「いつでも返品できるし、とりあえず買ってみよう」と買い手の財布の紐を緩め、たとえ買った商品に多少の不満が生じても、「返品は面倒だし、もったいない気がするし…」となってしまいます。

結果、返品率よりも購入率が高まる…といった仕組みのようです。

この保有効果に対抗する最も有効な方法は、やはり最初から持たないこと、でしょう。

細かいようですが所有する前に、本当に必要なものなのか、所有した場合にコストは発生するのか、破棄するときにコストは発生するのか、も含めてじっくり検討する必要があります。

では、もうすでに所有してしまったものに対してはどうすればいいのか。

これには、一定期間、「目につかないようにする」というのが有効です。モノに関しては、箱に入れておいて1年間使わなかったら中身を見ずに箱ごと捨てる、なんて方法が有名ですね。

 

所有による魔力は我々の判断を狂わせます。

ミニマリストという生き方が世に知られて久しく、持ったものをいかに減らすか、ということに注目が集まりがちですが、身軽に生きていくために本当に重要なのは、不要なものは最初から持たない、という単純な真理なのかもしれませんね。

以上、必要のないものは持つべからず、という話でした。